リンパ浮腫の診断について
リンパ浮腫の診断には、詳細な問診、医師による診察とリンパ管造影・超高周波超音波検査が有効です。
がん治療後で手術した側の四肢の違和感がある、むくむ場合は、できるだけ早くリンパ浮腫の検査を受けることをお勧めします。
おもに乳がんや婦人科がんで、リンパ節の郭清を行っていたり、脇や骨盤周辺に放射線を当てていたりし、そうした治療をした側の腕や足がむくむ場合は、リンパ浮腫(二次性リンパ浮腫)である可能性が高く、早期に発見し、早期の治療を行うことが望まれます。他に、がんの治療歴がなくとも発症する原発性リンパ浮腫や、よく似た症状を発症する静脈瘤、栄養不足、腹水、腎不全などによる浮腫もありますので、正確に診断つけることが大切になります。
がん手術後のリンパ浮腫は、すぐに発症する場合あれば、5年後、10年後に発症する場合もあります。リンパ浮腫は発症してしまうと徐々に症状が進行するので、発見された場合に、どのくらい経過しているのか、その間、どのような症状が現れたか(むくみや皮膚の状態、蜂窩織炎を発症したか等)をみていくことが重要になります。それにより進行の速さや傾向をつかみ、最適と思われる治療法を選択していくことになります。
リンパ浮腫の検査方法について
リンパ浮腫の状態を詳しく診断するために、 リンパ管造影検査が行われてきました。
リンパ浮腫の検査では近年、インドシアニングリーン(ICG)蛍光リンパ管造影法が開発され、リンパ管の様子が鮮明にリアルタイムで観察できるようになりさらに、超高周波超音波検査でリンパ管の質までも分かるようになりました。
リンパシンチグラフィー
放射線同位体と呼ばれる薬剤を造影剤としてリンパ管に注入し、薬剤が発する放射線を感知することで、体内におけるリンパ液のうっ滞や、リンパ管での流れの様子を視認することができます。下肢静脈瘤など静脈性の浮腫等、他の病気との区別ができ、進行の度合いも判定できます。
インドシアニングリーン(ICG)蛍光リンパ管造影
インドシアニングリーン(ICG)という緑色色素の光感受性物質による造影剤を皮下に注射し、赤外線カメラで撮影し、リンパの流れを観察するものです。
この検査では、リンパ管が蛍光作用によって光って見え、リンパ管がどこで詰まっているかなどの異常個所やリンパ液が漏れている部位を特定できるほか、より早期にリンパ管の異常の発見に有効であり、効果的な治療の選択にも役立ちます。外来の診察室で、1時間ほどで検査可能ですが、ヨードアレルギーのある患者さまは使用できません。
超高周波超音波検査
一般的な高周波超音波検査でも、リンパ管から漏れ出し皮下に溜まってしまっているリンパ液および脂肪組織の変性の様子を確認することができます。ただし、溜まっている液体の成分が特定できないため、初期の段階では他の病気との区別が難しい場合があります。
当クリニックで導入している超高周波超音波検査では、リンパ管の性状やリンパ管の近くにある静脈など、より詳細な情報を得ることができます。