リンパ浮腫の治療について

当クリニックでは、リンパ浮腫治療の中でもリンパ管静脈吻合術による日帰り手術治療に力を入れております。

理学療法につきましては連携医療機関をご紹介させていただきます。

重症度により選択する治療法が変わります

下記の表は、リンパ浮腫の重症度の段階を、国際リンパ学会が分類したものです。

段階
症状
0期
リンパ液の流れに障害は起きていますが、まだ浮腫が明らかでなく、「潜在性」または「無症候性」の段階です。
Ⅰ期
組織の間に、たんぱく成分がみられる液が溜まり始めていますが、まだ初期の段階で、手足を高く挙げることで腫れなどのむくみが収まります。指で押すと窪んだ跡がつく状態(圧痕)がみられる場合もあります。
Ⅱ期
手足を上げても腫れた部分は元に戻らず、圧痕がはっきりと付くようになります。
Ⅱ期後期
組織が線維化してしまい、硬くなって、圧痕が付かなくなります。
Ⅲ期
「リンパ液うっ滞性象皮症」「アカントーシス(表皮肥厚)」「脂肪沈着」などの皮膚変化が現れます。

理学療法(保存的治療)について

弾性包帯(バンデージ)

医療用の包帯にて圧迫し、むくみの発生を抑えるものです。対症療法であり、これのみで完治するものではありません。

弾性着衣(ストッキング等)

医療用で、圧迫する着衣タイプで圧迫するものです。ストッキングは片脚タイプや両足タイプ、またスリーブやグローブもあります。バンデージと同じく、対症療法のものです。

弾性着衣(ストッキング等)のイメージ画像

リンパドレナージ

用手的マッサージで健康なリンパ管に、リンパ液を誘導するものです。

運動療法

むくんだ部分を圧迫した状態で運動することにより、筋ポンプ作用の効果で、リンパ液の流れを促進します。
※必要に応じて連携医療機関をご紹介させていただきます。

手術療法について

リンパ管細静脈吻合

傷害を起こしているリンパ管にバイパスを作って静脈とつなぎ、リンパ液を静脈へと流す手術です。
→詳しくはこちらをご覧ください。

リンパ節移植

正常な部分から、患者さまご自身のリンパ節やリンパ管を血管と一緒に採取し、リンパ浮腫の原因となっている個所に移植する手術です。全身麻酔による手術で入院が必要になります。多くはリンパ管細静脈吻合手術で効果が見られなかった患者さまに行われます。
※必要に応じて連携医療機関をご紹介させていただきます。

脂肪吸引

リンパの流れが全くなくなってしまった、Ⅱ期後期からⅢ期の患者さまを対象とした手術です。リンパ浮腫が進行すると水分以外に脂肪も増え、一度増えた脂肪は減少しません。その脂肪を吸い出して患部を細くする手術です。
全身麻酔による手術で入院が必要になります。多くはリンパ管細静脈吻合手術で効果が見られなかった患者さまに行われます。
※必要に応じて連携医療機関をご紹介させていただきます。

その他

スキンケア

スキンケアのイメージ画像

リンパ浮腫でむくみが進行すると、皮膚のバリア機能が低下します。すると感染が起こりやすくなり、蜂窩織炎やリンパ管炎が起こりやすくなりますので、常に皮膚を清潔な状態に保ち、併せて保湿を行っていくことが大切です。

リンパ浮腫の詳しい手術方法についてはこちら

リンパ浮腫についてのよくあるご質問